Friday, February 7, 2014

ソーシャルゲームとユーザの関係は永遠の分析課題!?

「魔法使いと黒猫のウィズ」というスマホで遊べるクイズ形式のカードゲームがあります。パズドラの亜流みたいなゲームなのですが、けっこうたのしい。年末から始めたのですがわりとハマっています。ちなみに現在はサイオーンのステージ6で火のキャラ不足に悩んでいるところ…ってどうでもいいですが。

このゲーム、無課金でも遊べるのですが(ちなみにワタクシは無課金です、念のため)、強いカードが欲しければ「クリスタル」と呼ばれるポイントを購入して何度もガチャを回す必要があります。黒猫ウィズのウリのひとつに10連ガチャというものがあって、クリスタル50個で10枚のカードが引けるしくみが用意されています。10枚のうち1枚にはAランクもしくはSランクのカードが必ず入っているので、10枚全部がガッカリーズというかなしい事態は少なくとも避けられるわけです。筆者のような無課金のユーザにもたまに運営からクリスタルが無料で配布されるのですが、それをちまちまと5個ためたのち、念を込めて単発でガチャを引いても、ガッカリーズの嵐、嵐、嵐。いったいどういう確率になってるんだよo(`ω´*)oと怒りたくなるときもありますが、タダで遊ばせてもらっている以上、それ以上文句はいえません…あー、単発でもファムとかアルルとか出ないかなー←絶対出ない(_ _;)

さて、この黒猫ウィズがガチャの表示と返金問題をめぐり、ちょっとした騒ぎになっています。以下、ITmediaのニュースより。

「黒猫のウィズ」運営元が告知、「不正な返金請求にはアカウント停止も」
コロプラが運営するスマートフォン向けゲーム「クイズRPG 魔法使いと黒猫のウィズ」で、一部ユーザーが、ゲーム内の「ガチャ」の表示などに不満を持ち、アプリストア運営元のGoogleやAppleに対して返金を求めている問題で、コロプラは2月6日、「不正な返金請求をしたユーザーはアカウントを停止場合がある」とする告知文をゲーム内に掲示した。(以下略)
上記のニュースを見てもらえればわかると思いますが、スクエニの返金問題がなぜか黒猫ウィズにも波及し、一部の黒猫ユーザが「不当な表示に納得いかないからクリスタル購入代を返金せよ」とGopgle PlayやAppleに迫ったもよう。実際に返金を勝ち獲ったユーザも少なくないようで、このことに運営のコロプラがブチ切れ、返金請求するようなユーザにはアカウント停止も辞さないからな!と強気の態度に出ているというものです。筆者も昨日、画面に出てきたお知らせに「何言ってんだ?」と思ったのですが、無課金ユーザとはいえ、たのしく遊んでいるゲームでこんなことが起こるのはあまりいい気持ちがしないですね。

ソーシャルゲームにおけるガチャというシステムにはいろいろ問題が多いことはたびたび指摘されています。あまりにも社会的影響が大きいとして、2012年にはコンプガチャは規制されましたが、ガチャ自体は規制されていません。ユーザが欲しがっているアイテムやカードに直接課金するのではなく、そのアイテム/カードが「出るかもしれない」という期待にユーザはお金を払うわけで、射幸心を煽ることこの上なしです。望みのカードが出なくても「あともう1回回せば出るかもしれない」「これだけつぎ込んだんだから出るまでやめられない」と思うユーザのなんと多いことか。さらに問題は、人気ゲームである黒猫ウィズやパズドラがガチャの確率表示を行わないため、他のアプリベンダもこれに倣う例が多いことです。これに対しては消費者庁なども問題視しているようですが、いまのところ改善される気配はなく、ユーザの不信感に拍車をかけているのが現状です。今回の騒ぎも、行き過ぎなユーザの行為とはいえ、そうしたユーザのソーシャルゲーム運営元に対する不信感がベースになっているのは間違いありません。

このニュースを見たとき、2年前に執筆したある記事を思い出しました。「GREE Platform Conference 2012」というイベントの取材記事なのですが、その中のひとつで、日本IBMの方がソーシャルゲームプロバイダにユーザ分析を徹底して行うように勧めていたセッションの紹介です。
ここがヘンだよ日本のソーシャルゲームと世界進出 - 【1】ソーシャルゲームのためのユーザー分析の基礎知識
いやー、いま読み返すとこんなユーザ分析を本気でやられたら、そりゃユーザはゲームやめられないよなあ…としみじみ思います。このユーザ分析見ながら、自分はいま黒猫ウィズユーザ層のどこに位置するんだろうと考え込んでしまいました。「ああ、もう無課金だと詰んだな。そろそろやめようかなー」とあきらめモードに入ると、タイミングよく無課金ユーザでもたのしめるイベント→新カードゲット(*゚∀゚)という流れになってしまい、気がつけば2カ月以上、ほぼ毎日ウィズを撫でてる始末。きっと「無課金から課金に移るライン上のユーザグループ」として分析され、それなり(無課金なり)のイベントやくプレゼントが与えられ、ゆるやかにゲームから逃れないようにつながれているような気がします。ちなみにこの記事はコンプガチャ規制前のものですが、それにしてもこんな詳細なユーザ分析を日本中のソーシャルゲームベンダがやりだしたら、廃課金続出だよ…とほんとに怖くなります。

黒猫ウィズは楽しいゲームなのですが、「イベントがつまらない」「ガチャ煽り、カードのインフレがひどい」「イベントの間隔が長い/短い」などと運営に対する不満の声もよく聞かれます。ここの記事にもあるように、ソーシャルゲームはPDCAのペースが非常に早いので、改変のスピードにユーザがついていけない部分も多少なりともあるのでしょう。ただ、PDCAやローンチ&イテレートを早く回すことは本来、改善のスピードを上げ、ユーザの満足度を高め、収益向上にもつなげていくことが目標のはずです。多くの指標をもとに分析を行っているはずなのに、ユーザとの関係向上という指標にもとづく分析の視点がどうも黒猫ウィズを含め、ソーシャルゲーム運営者には欠けているような気がしてなりません。ビジネスなのでもちろん儲けること優先でもいいのですが、ガチャ煽りみたいな露骨すぎる施策ばかり目につき、結局ユーザの不信を買ってしまう。黒猫ウィズはせっかく良い世界観をもったゲームなのにすごくもったいないなあ…と思います。早くこの騒動が沈静化することを(無課金ですが)いちユーザとして心からのぞんでおります…ということで、青魔導書を狩りに行こうっと♪