Saturday, June 15, 2013

データベースが円筒形ではなくなる日はやってくる!? - シリコンバレー随一の美しさを誇るオラクル本社ビル群


サンフランシスコ空港から国道101号を南に10分ほどドライブすると、目の前にブルーに輝く巨大な円筒形のビル群が迫ってくる。シリコンバレーの入り口に圧倒的な存在感をもってそびえ立つこのオラクル本社を目にすると、IT企業にとってこの地こそが世界最高の舞台であることを実感せざるを得ない。

ビルの形状が円筒形であるのは、オラクルの事業を支えるデータベースを模しているからという話はよく知られている。大きな人工池を囲むように建てられたビル群は木々とともに美しいラグーンを形成し、水辺では水鳥が羽をやすめ、ITの会社だということを忘れさせるような解放的な雰囲気が漂う。一部のビルを除き、ラグーンの周囲やカフェテリアには外部からの出入りも許可されている。シリコンバレーを巡る機会があればぜひ訪れてみてほしい場所だ。

創業者であり、70歳を迎えながらなお現役でCEOを務めるラリー・エリソンはここに最初のビルを建てたとき、その番号を100(第1ビル)ではなく500(第5ビル)とした。100にしなかったのは「ビルを5棟建てられるまで会社を大きくしたかったから」だという。最初からピークの値を5倍に想定して設計していたというわけだ。結果、当初の期待を大きく上回る大企業へと成長したことは語るまでもないだろう。

だがITの世界は変化が速く、激しい。データベース市場で圧倒的な首位を誇り、大型買収を重ね、企業規模を拡大してきたオラクルだが、クラウドやビッグデータ、ソーシャルといった現在のメインストリームとなっている分野で強い存在感を示すことが難しくなってきている。トップを走り続けてきたデータベース事業においても、インメモリやNoSQLといった新たなトレンドに対してはつねに出遅れている印象を否めない。もしかしたら、データベースの象徴がディスクをあらわす円筒形である時代が終わってしまうのも、そう遠くはないのかもしれない。そのとき、このビルを本社にもつオラクルは、データベース市場でトップであり続けることができているのだろうか。